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【調査士ねっとわーく】『記憶の彼方』

 眠りから覚めた時、額が冷や汗でじっとりしている朝があります。見たばかりの夢を思い出しては、改めて汗が吹き出すのを感じます。

 20年以上前のことでした。当時はもちろん体力も有り余っており、キャンプ道具一式ザックに詰め込み日本中を歩きまわっておりました。本格的な登山をするわけではなく、ルート上にキャンプ場があればそこにテントを張り、なければ宿に泊まるという気ままな放浪旅でした。

 その年信州方面をぶらぶらしておりまして、目的地も決めずに列車の中で地図を見ながらさてどこに行こうかと思案していると、とある湖(池?)のほとりにキャンプ場を見つけました。早速最寄り駅で下車、とぼとぼと上り坂を歩いていると前方から来た軽トラが私の横で止まりました。「キャンプ場に行くのか?」と聞かれましたのでそうだと答えると利用料金は『500円』とのこと。今考えるとずいぶん安かったですね。どうやらそのキャンプ場の管理をしているらしい。その場で支払いしばらくして目的地へ。季節外れ(7月初旬だったと思います)のこともありキャンプ場には私一人、一晩孤独感を満喫しました。

 実は話はこれからが本題なのですが、翌日さらに山の奥のほうまで足を伸ばし、前日に下車した駅の隣の駅まで行こうとルートを確認。ところが意外に時間がかかり、途中からは土砂降りに見まわれたりして、駅にたどり着いたのは薄暗くなってからでした。無人駅らしく、これ幸いと洗濯ロープを待合室に張り巡らして雨で濡れたザックの中身を干したりして眠りにつきました。翌朝、周囲のざわついた物音で目が覚めたのですが、目を開けると待合室には数人の人がおり、ベンチの上で寝袋にくるまった私の様子を遠巻きに伺っております。昨夜は薄暗くて気が付かなかったのですが、実は駅の周囲には意外に人家が多く、通勤・通学の乗客が結構居たのでした。目覚めた当座は事態が飲み込めず、状況を理解してからはそれこそ気まずさから身動きが取れませんでした。それでも意を決して寝袋から這い出し身支度を始めたのですが、針のむしろ状態はしばらく続きました。

 今思い出すと確かに冷や汗の出るような記憶なのですが、仕事に忙殺されて身動きがとれないようなときには、いつか又、当時のような気ままな旅にでたいとも思う今日このごろなのであります。

(記事 横浜中支部広報員 川又 康司)

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